進化:哺乳類の顎関節の起源を調査する
Nature
2024年9月26日
哺乳類に似た顎関節は、哺乳類に現れた時期よりも約1,700万年も前に、哺乳類の親戚の中で独自に進化した可能性があることが、2億2,500万年前の化石の分析から示唆されたことを報告する論文が、Natureに掲載される。この発見は、化石記録におけるこの種類の顎関節の最古の例であり、この重要な構造の起源を解明する手がかりとなるかもしれない。
哺乳類の重要な特徴のひとつは蝶番のような顎関節であり、下顎の歯骨と頭蓋底の鱗状骨の接触部である。この関節はこれまでにも広く研究されてきたが、哺乳類におけるその進化については疑問が残っている。現生哺乳類はシノドント類と呼ばれるより大きな動物グループから進化したことが知られており、その初期の形では、下顎の関節骨と頭蓋骨の方形骨という、全く異なる2つの骨から顎関節が構成されていた。この進化の変遷は、哺乳類の進化を理解する上で重要である。
James Rawsonらは、ブラジルの三畳紀におけるシノドント類の化石であるBrasilodon quadrangularisおよびRiograndia guaibensisの顎関節の解剖学的構造を再構築するために、マイクロコンピューター断層撮影(マイクロCTスキャン)を使用した。R. guaibensisの顎関節は、B. quadrangularisよりも現生哺乳類の顎関節とより類似しており、歯骨・鱗状骨の接触がはっきりしているものの、B. quadrangularisの方が現生哺乳類により近縁である。この発見は、Riograndiaの歯骨・鱗状骨の接触は、標準的な哺乳類の歯骨・鱗状骨の関節とは完全に独立して進化した(約1,700万年前に)に違いないことを示唆している。
著者らは、この関節が哺乳類の祖先の関節とは独立して進化したと示唆しており、この特徴は一度以上進化していることを示している。
Rawson, J.R.G., Martinelli, A.G., Gill, P.G. et al. Brazilian fossils reveal homoplasy in the oldest mammalian jaw joint. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07971-3
doi:10.1038/s41586-024-07971-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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