音楽:1980年以降のポピュラー音楽の歌詞はシンプルになり繰り返しが増えた
Scientific Reports
2024年3月29日
英語の歌の歌詞は過去40年間でシンプル(簡単で単純)になり、繰り返しが多くなったことを報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。
今回、Eva Zangerleらは、1980~2020年にリリースされた英語のラップ、カントリー、ポップス、リズム・アンド・ブルース(R&B)、ロックの1万2000曲(各ジャンル2400曲)の歌詞を分析した。Zangerleらは、これらの曲の歌詞が一般に時代とともにシンプルで理解しやすいものになり、特にラップやロックの曲では、1曲の中で使用される単語のバラエティーが減たことを明らかにした。Zangerleらは、複数のジャンルの曲で歌詞の反復が一般に増えてきているため、歌詞が全体的にシンプルになっているという見解を示している。Zangerleらは、歌詞がシンプルになる傾向は、BGMとして再生される曲の増加など、音楽消費の変化を反映したものではないかと推測している。
また、今回の研究では、歌詞が時代とともに情緒的で個人的になる傾向があることも分かった。ラップ曲では正の感情を示す単語と負の感情を示す単語が多く使われるようになり、R&B、ポップス、カントリー曲では負の感情を示す単語が多く使われるようになった。さらに、全てのジャンルで怒りに関連する単語の使用が増えた。
Zangerleらは、オンラインの歌詞検索サイトGeniusでの1万2000曲の歌詞の閲覧を分析し、古いロック曲の歌詞は新しいロック曲の歌詞よりも閲覧件数が多くなる傾向があり、新しいカントリー曲の歌詞は古いカントリー曲の歌詞よりも閲覧件数が多くなる傾向があることを明らかにした。この結果は、ロックの聴き手が古い曲の歌詞を好み、カントリーの聴き手は新しい曲の歌詞を好む可能性があることを示している。
以上の知見は、過去40年にわたる音楽の進化を洞察するための新たな手掛かりとなる。
doi:10.1038/s41598-024-55742-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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