Research Press Release

エネルギー:ヨーロッパにおけるエネルギー需要の公平な削減

Nature Energy

2023年7月18日

ヨーロッパの上位5分位(20%)のエネルギー使用を制限すれば、消費される総エネルギーに関わる温室効果ガスの排出量を毎年9.7%削減できる可能性があることが、モデル化研究から示された。このことを報告する論文が、Nature Energyに掲載される。この知見は、どうすればより公平に将来のエネルギー需要を削減できる可能性があるかについて理解するのに役立つかもしれない。

エネルギー需要の削減は、先進国が気候目標を達成するのに必要であるが、消費者レベルで公平に需要を削減することは、困難な政策課題である。公平なエネルギー需要の削減に関する理論の1つでは、エネルギーを多く使用する者を削減の対象としながら、全ての人の基本的なエネルギー需要を満たすことに重点を置くことで、温室効果ガス排出量を安全なプラネタリー・バウンダリー(地球の限界)の範囲内に収める。

今回Milena Büchsらは、この政策の実施に必要な削減量を調べるために、ヨーロッパの27カ国の27万5614世帯のサンプルから得られたデータを用いて、家庭のエネルギー使用と温室効果ガス排出量を見積もった。そして、その結果と、多地域入出力データベースから得られたエネルギー係数や温室効果ガス排出係数を組み合わせた。Büchsらは、上位5分位の消費者のエネルギー使用を制限すると、家庭のエネルギー(電力、ガス、石炭を含む)による温室効果ガスの排出量が11.4%、輸送(自動車燃料、公共交通機関、航空旅行を含む)による排出量が16.8%、エネルギー消費による総排出量が9.7%削減される可能性があることを見いだしている。Büchsらはまた、エネルギー使用が最も少ない人々の基本的なエネルギー需要を満たすために、そうした人々の消費を増やすことは、使用制限の結果削減される温室効果ガス排出量を、それぞれたった1.2%、0.9%、1.4%減らすにすぎないことも見いだしている。

Büchsらは、貧困層のエネルギー消費を増やしながら、上位のエネルギー消費者の消費を減らすことは、ヨーロッパにおけるエネルギー需要のより公平な削減につながる可能性があると示唆している。

doi:10.1038/s41560-023-01283-y

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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