気候:極端な熱波を引き起こす過程は地域によって異なる
Nature Geoscience
2023年2月21日
北米の太平洋岸北西部で2021年6月後半に発生したような極端な熱波を起こす空気は、その事象の前に大気中を移動するにつれ加熱されるが、具体的な加熱過程は地域によって異なることを示す論文が、Nature Geoscienceに掲載される。
地球表面の極端な高温は、人類と自然システムに対する深刻な脅威となりつつある。高温は、一般的には、他の地域から熱が輸送される(移流)、高温の陸地あるいは海洋表面により直接加熱される(非断熱加熱)、表面に向かって下降する空気塊が圧縮されるにつれ加熱される(断熱加熱)、という3つの過程で起きる。極端な高温を起こす際の、それぞれの機構の相対的重要性はよく分かっておらず、極端な熱波がいつどこで起きるかを理解することの妨げとなっている。
Matthias RöthlisbergerとLukas Papritzは今回、1979年から2020年の気候データを解析し、全球にまたがる格子点内で極端に高温の日をもたらす3種類の加熱過程が混ざった過程を決定した。彼らは、それぞれの年の最も高温の日に存在した空気の跡を、時間をさかのぼって追跡し、異常な高温が典型的にはおよそ1000キロメートルと60時間にわたり形成されたことを見いだした。著者らはまた、主要な加熱過程は地域により異なり、中緯度海洋では移流が、山岳地帯近傍と亜熱帯海洋にわたっては断熱加熱が、そして熱帯と亜熱帯大陸の上では非断熱加熱であること見いだした。2021年6月にわたって米国とカナダの北西部で継続した熱波に対して彼らの手法を適用することで、この熱波が太平洋から運ばれた異常に高温な空気と、この地域の異常に大きな非断熱加熱が組み合わさることで生じたことが分かった。
著者らは、時間とともに空気を加熱する特定の機構を理解することは、温暖化した気候における熱波の予測を改善して制約するために重要となると結論付けている。
doi:10.1038/s41561-023-01126-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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