Research Press Release

地球科学:前触れなしに火山噴火が起こる仕組み

Nature

2022年9月1日

2021年のニーラゴンゴ山(コンゴ民主共和国)の噴火には、意味のある前兆現象がなかった。この噴火について、火山体(円錐構造)の破壊が引き金になった可能性を示唆する論文が、Nature に掲載される。この研究知見は、火山を監視することの有用性を明確に示しており、通常の前兆信号がない場合に噴火をどのように予測するのかという点に関する手がかりとなる可能性がある。

ニーラゴンゴ山は、開放型火山で、山頂火口に巨大な溶岩湖がある。2021年5月の噴火は約6時間続き、溶岩流が発生し、死者・行方不明者が約220人、負傷者が750人にのぼっただけでなく、インフラ被害もあった。この火山噴火には、前兆がなく、周辺住民に警戒を呼びかける機会がなかった。火山噴火の典型的な引き金は、圧力上昇とマグマの地表への上昇であり、それによって信号が発生し、これを検出することができる。過去のニーラゴンゴ山の噴火(1977年と2002年)には前兆があり、主噴火の前に地震活動と噴火活動が報告されていた。

今回、Delphine Smittarelloたちは、2021年5月に発生したニーラゴンゴ山の噴火を分析し、この噴火の引き金となったのが火山体の破壊だったと推測し、応力が引張強度(破壊されるまでの最大応力)に達したか、あるいは、応力と高温が持続した結果、火山体が時間の経過とともに脆弱となったことが原因だった可能性があると述べている。既にマグマが地表近くまで上昇してきており、噴火するまでの移動距離が短くなっていたため、この動きに関連した信号を検出し、解釈する時間がほとんどなかった。噴火は、異常な地震事象が検出されてから40分足らずで始まった。

Smittarelloたちは、今回の研究で得られた知見により、ニーラゴンゴ山の噴火の背後で働いている機構とニーラゴンゴ山が人口密集地域に近接しているための危険な事象の発生可能性に関する疑問が生じ、より一般的には、開放型火山が提起した監視、早期発見とリスク管理の問題が明確になったと主張している。

doi:10.1038/s41586-022-05047-8

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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