電子工学:堅牢な伸縮性高輝度ウエアラブルディスプレイ
Nature
2022年3月24日
卓越した輝度レベルと良好な機械的安定性を備え、伸縮性に優れたウエアラブルディスプレイについて記述された論文が、Nature に掲載される。この設計は、高性能伸縮性ディスプレイに向けた大きな進歩と考えられる。
すぐに情報を表示できることは、数多くの目的(画像化、治療、健康状態や幸福感や疾患の早期発症のモニタリングなど)に用いられるヒューマンエレクトロニクスインターフェースの中核機能だ。皮膚に密着させる発光ダイオードディスプレイ(LEDディスプレイ)は、触れると柔らかく、伸縮性があり、高輝度であることが最も望ましい。現在の伸縮性発光デバイスは、ほとんどが無機材料を用いて製造されているため、高電圧が必要であったり、デバイスが変形した時に伸縮性や輝度や解像度が低下したりする。
今回、Zhenan Baoたちは、この問題を解決するための、伸縮性のあるオールポリマー発光ダイオード(APLED)の設計と作製プロセスについて記述している。Baoたちは、このAPLEDが高輝度と優れた耐久性を実現し、当初の長さの2倍に伸ばした状態でも機能することを報告している。APLEDの実用化に際しては、ヒトの皮膚に触れている間は長期間機能する必要がある。Baoたちは、電波でAPLEDに電力を供給するフレキシブルな無線給電システムを電源として使用し、APLEDがヒトの心拍に合わせて点滅を繰り返すことで、パルス信号をリアルタイムで表示できることを示した。
Baoたちは、このデバイスは、将来の皮膚エレクトロニクスとヒューマンエレクトロニクス機器の基礎となる可能性があると結論付けている。
doi:10.1038/s41586-022-04400-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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