生物学:加齢過程の測定指標
Nature Communications
2021年5月26日
生物学的加齢過程の評価に使用できる新しい指標について記述された論文が、Nature Communications に掲載される。
加齢は、進行性の機能低下と慢性疾患のリスク上昇に関連している。生物学的年齢の決定は複雑で、必ずしも暦年齢と相関しないため、これまでの研究では、血液マーカー、DNAメチル化やその他の指標を用いて、加齢のバイオマーカーと予測因子が開発されてきた。こうしたバイオマーカーと予測因子は、臨床上、アンチエイジング介入の有効性判定に使用できる可能性もある。/p>
今回、Timothy Pyrkovたちの研究チームは、米国国民健康栄養調査と英国バイオバンクによるヒト全血球数の縦断的データを用いて、生物学的年齢を記述する単一の変数として、動的生体状態指標(dynamic organism state indicator;DOSI)を開発した。DOSIは、年齢、疾患、生活習慣などの予想された変数と関連していた。Pyrkovたちは、DOSIの変動を生理的回復力の指標として記述し、疾患などのかく乱から回復する能力を示している。Pyrkovたちは、加齢によってDOSIの変動が大きくなることを明らかにした。これは、回復に要する時間が長くなるためである。またPyrkovたちは、回復力の進行性低下を基に、ヒトの寿命が最長120~150年になると予測している。これらの計算結果は、他のいくつかの研究とも整合性がある。
doi:10.1038/s41467-021-23014-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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