Research Press Release

環境科学:有害廃棄物で汚染された地域が人間の健康に及ぼす影響を評価する

Nature Communications

2021年4月14日

Environmental science: Assessing the impact of hazardous waste sites on human health

米国では、スーパーファンドサイト(有害物質で汚染された地域)の近くに住むと、平均余命が0.2歳短くなる可能性があることを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。今回の研究から、こうした影響は、社会人口統計学的に不利な状況や気候変動の影響によってさらに悪化する可能性があることが示唆されている。

米国全土で数百万人がスーパーファンドサイトの近くに居住している。それぞれのスーパーファンドサイトは、長期的な浄化作業を必要とする有害廃棄物の存在を特徴とする。米国では、スーパーファンドサイトに近接して居住することに関連する健康への影響の可能性が全国レベルで評価されたことはなかった。

今回、Hanadi Rifai、Amin Kiaghadi、Clint Dawsonの研究チームは、国勢調査データを用いて全国的なジオコード統計モデリング解析を実施して、一般的な健康状態の代理指標としての平均余命がスーパーファンドサイトとの近接性の影響をどのように受けるかを推定した。今回の研究では、米国本土の7万2268の国勢統計区のうち6万5000以上で平均余命データが利用可能だった。解析の結果、スーパーファンドサイトの近くに住む人々(スーパーファンドサイトのある国勢統計区内に居住する人々)と、スーパーファンドサイトから遠く離れて住む人々(スーパーファンドサイトのある国勢統計区内に居住していない人々)の平均余命に、わずかだが有意な差があることが判明した。スーパーファンドサイトの近くに住む人々の平均余命は約0.2歳短かったが、スーパーファンドサイトに近接し、社会人口統計学的に不利な状況(低所得、教育レベルが低いこと、市民権を有していないこと、保険への未加入、障碍者であることなど)にある国勢統計区内では、平均余命が約1.22歳短かった。

各地域での自然災害(例えば、有害な化学物質を拡散させ、上水道を汚染する可能性のある洪水)に対する備えと対応の有無も、スーパーファンドサイトの近くで居住することの悪影響を増幅させた。今後、気候変動によって自然災害の頻度が高まると、こうした悪影響がさらに顕著なものとなる可能性がある。また、有害廃棄物の浄化計画が整備されていない国勢統計区内では、健康への影響が大きかった。ただし、著者たちは、スーパーファンドサイトが周辺住民に及ぼす悪影響をもっと正確に推定するためには、それぞれのスーパーファンドサイトを個別に調べる必要があると指摘している。

doi:10.1038/s41467-021-22249-2

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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