Research Press Release

生態学:侵入種による費用を計算する

Nature

2021年4月1日

Ecology: Counting the cost of invasive species

1970~2017年に全世界で生物学的侵入(固有の生息地以外の場所への生物種の導入と拡散)に伴って発生した費用が、少なくとも1兆2880億ドル(約144兆6800億円)であったことを報告する論文が、今週、Nature に掲載される。

侵入外来種の導入は、生物多様性、人間の健康、経済に悪影響を及ぼす可能性がある。経済的影響には、物品やサービスの損失だけでなく、生物学的侵入の管理に要する費用も含まれる。グローバル化と気候変動によって生物学的侵入のリスクが高まっているため、信頼性のある世界経済影響評価を行って、生物学的侵入に伴う費用を定量化する必要がある。

今回、Christophe Diagneたちは、InvaCostデータベースを用いて、全世界の生物学的侵入の金銭的影響を評価した。その結果、人間社会では、生物学的侵入によって経済的費用が発生していることが明らかになり、1970~2017年に少なくとも1兆2880億ドルの損失と費用が発生したと推算された。それによれば、この研究期間中に、年平均費用が10年ごとに3倍に増えており、Diagneたちは、2017年には平均費用が470億ドル(約5兆2800億円)を超えた可能性があると推定している。報告されている中で経済的影響が最も大きいのは、無脊椎動物の侵入種であり、影響評価が行われた期間中の年平均費用は87億ドル(約9800億円)だった。地域別では、北米が、侵入種による費用の記録が最も多額(年間平均110億ドル、約1兆2400億円)だった。

Diagneたちは、今回の分析が報告された費用に基づいているため、特定の地域や生物種に関する推定値が過小になっている可能性があることを指摘し、侵入外来種の経済的負担を減らすためには国際協定が必要だと主張している。

doi:10.1038/s41586-021-03405-6

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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