電子工学:スマート衣料品に利用可能なウエアラブル電子テキスタイル
Nature
2021年3月11日
大面積ディスプレイの組み込まれた電子テキスタイルが作製され、通信、ナビゲーション、医療への応用が期待されることを報じる論文が、今週、Nature に掲載される。この電子テキスタイルは、屈曲性、通気性、耐久性を備えており、実用に非常に適した素材となっている。
さまざまな機能を有するシステムと統合された大面積ディスプレイを衣服のように着用できるように作製して、着用時に屈曲性と耐久性が発揮されるようにするのは難題だった。従来の固体ディスプレイ材料は、布地と容易に適合しない。布地を着用する時や洗濯する時に起こる自然な変形に対する耐久性が低いからだ。今回の新しい設計によって導電繊維と発光繊維と綿糸を使って織り上げたディスプレイテキスタイルは、こうした難題が克服することが実証されている。
今回、Huisheng Pengたちは、幅25センチメートル、長さ6メートルのディスプレイテキスタイルを作製し、ここに繊維製のタッチ式キーボードと(太陽光発電による)繊維製電源を組み込むことができる。また、Pengたちは、このディスプレイテキスタイルに用いることのできる各種アプリケーション(インタラクティブな地図を表示するナビゲーションツールやスマートフォンとのBluetooth接続を介してメッセージを送受信できる通信ツールなど)も実証した。ディスプレイテキスタイルの表示部は、導電繊維と発光繊維との接触点に形成されるエレクトロルミネッセンス(EL)素子によっている。このEL素子に対して、曲げ、伸縮、加圧をそれぞれ1000サイクル実施した試験では、大多数のEL素子は、性能が安定していた。さらに、EL素子の輝度は、洗濯と乾燥のサイクルを100回実施した後も安定していた。このような「スマートテキスタイル」は、今後さらなる機能が統合されて、次世代の電子通信ツールを形作ると、Pengたちは期待している。
doi:10.1038/s41586-021-03295-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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