Research Press Release
【健康】小児期の体重は妊娠中の母親のパラベン類曝露に関連している
Nature Communications
2020年2月12日
妊娠時の母親がブチルパラベン(BuP)にさらされると、子が8歳までに過体重になる原因となる可能性のあることを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。
パラベン類の化合物は、抗菌性と抗真菌性を有し、数々の消費者製品に使用されているが、経口摂取や皮膚吸収によって体内に入り、尿や血液中に検出されることが知られている。
今回、Tobias Polteたちの研究チームは、出生前のパラベン類曝露が小児期に過体重になるリスクに及ぼす影響を調べた。この研究では、2006年から2008年までに母子(629組)のコホートからデータを収集し、妊娠34週の母親に記入させた質問票を用いてパラベン類曝露を評価した。そして出生後の子どもの体重と身長が毎年計測された。その結果、パラベン含有化粧品の使用を申告した母親の尿から高濃度のパラベン類が検出された。また、BuPの母体尿中濃度は、その子が小児期初期から小児期中期に過体重になるリスクと正の相関を示し、その傾向は、女児の方が強かった。
Polteたちは、マウスモデルを用いて、母親のBuP曝露が雌の仔の食物摂取量と体重を増加させることを実証し、この作用には、脳内領域における(食物摂取の調節に関連している)プロオピオメラノコルチン遺伝子の発現レベルを低下させるエピジェネティック修飾が介在している可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-019-14202-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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