持続可能性:17の持続可能な開発目標の達成に向けた中国の進捗状況
Nature
2020年1月2日
国連の17の持続可能な開発目標の達成に向けた中国の進捗状況を評価した分析研究の結果を報告する論文が掲載される。2000~2015年の全体的な実績を表す評点に基づく分析結果によれば、中国は、国レベルと省レベルのいずれでも持続可能性が高まっている。ただし、同じ期間中に4つの個別目標に関する評点は下がった。
国連の17の持続可能な開発目標(SDGs)の達成を193か国が約束している。しかし、これまでのところ、SDGsの達成に向けた進捗状況が体系的に評価されたことはない。今回、Jianguo Liuたちの研究グループは、SDGの達成に向けた進捗を定量化する方法を開発し、中国の進捗状況を分析した。Liuたちは、2000年から2015年までの119のSDGs指標から得られたデータを用いて、SDGs指標評点(100点満点)を算出した。SDGs指標評点は、17のSDGs全てに対する個別の評点を集めたもので、中国の全体的な実績を表している。中国のSDGs指標評点は2000年の45.5から2015年には55.4に上がり、この傾向は、各省でも見られた。国レベルでは、17のSDGsのうち13のSDGsの評点が、この期間中に上がったが、SDG14(海の豊かさを守ろう)、SDG12(つくる責任つかう責任)、SDG5(ジェンダーの平等)とSDG13(気候変動に具体的な対策を)の4つの目標に関する評点は下がった。
Liuたちは、今回の研究で用いた方法が、持続可能な開発目標の達成に向けた中国やその他の国々の進捗状況をモニタリングするために役立つ可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41586-019-1846-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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