【がん】「中間期」乳がんと他の種類のがんとの関連
Nature Communications
2019年10月23日
定期検診を受けてからその次の定期検診までに発見された乳がん(中間期乳がん)の患者は、乳がん以外のがんを発症するリスクが高く、別のがんも発症した患者は、複数のがんの家族歴があることを申告することが多いことを報告する論文が、今週掲載される。これらの知見から、がん予防プログラムの新しい実施ガイドラインを策定できるかもしれない。
中間期乳がんは、腫瘍サイズが大きく、転移が多いという特徴があり、がん検診で発見される乳がんよりも悪性度が高く、予後も悪い。
今回、Felix Grassmannたちの研究グループは、スウェーデンでの2件の研究と米国での1件の研究に参加した合計1万4846人の乳がん患者から収集したデータを解析した。そのうちの1772例は中間期乳がんの症例だった。Grassmannたちは、中間期乳がんの患者の方が、乳がんの診断の前後に別の種類のがん(肺がん、大腸がん、皮膚がんなど)の診断を受ける確率が高いことを明らかにした。また、別の種類のがんの診断も受けた中間期乳がん患者は、中間期乳がん以外の乳がん患者よりも複数のがんの家族歴を申告する確率が3倍高かった。このことは、こうした転帰に遺伝性の希少遺伝子変異が関与している可能性を示唆している。
これらの結果を考慮することは、現在のがん予防プログラムの改善(例えば、特定の集団に対するがん検診の追加実施)と中間期乳がんの生存者とその近親者の認識の向上に役立つ可能性がある。Grassmannたちは、中間期乳がんと複数のがんに関連する希少遺伝子変異が何なのかを具体的に解明するための研究を行う必要があると考えている。
doi:10.1038/s41467-019-12652-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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