【動物学】ショックの大きい新種のデンキウナギ
Nature Communications
2019年9月11日
デンキウナギの新種2種について記述した論文が掲載される。そのうちのElectrophorus voltaiは、以前に報告されたものよりもはるかに大量の電気を放出する。その放電電圧は860Vと測定され、これまでで最強の起電性生物となった。
デンキウナギが初めて記述されたのは250年前のことだが、体サイズと起電のための特殊な形態のため、大アマゾン川流域全域に分布するElectrophorus electricusが唯一のデンキウナギ種だと考えられてきた。
今回、C. David de Santanaたちの研究グループは、大アマゾン川流域全域で採集した107点のデンキウナギの標本を調べ、Electrophorus electricusが単一種を形成しているのかどうかを調べた。de Santanaたちは、ミトコンドリアDNA、核DNA、形態学的特徴、地理的分布、生態分布に関するデータを用いることで、Eletrophorus属が3つの普通種(E. electricus、E. voltai、E. varii)によって構成されていると結論付けている。そして、彼らは、その分析結果に基づいて、E. electricus(ギアナ盾状地)、E. voltai(ブラジル楯状地)、E. varii(低地のアマゾン盆地)というように、この3種が、それぞれ異なる地域を占有しているという考えを示している。また、E. voltaiの放電電圧は、以前に発表されたElectrophorus属の650Vをかなり上回る860Vであることも明らかになった。
de Santanaたちは、この3種のゲノム塩基配列を解読、比較すれば、高電圧放電が起こる原因と高電圧放電を引き起こす構造に関する手掛かりが得られるかもしれないと考えている。
doi:10.1038/s41467-019-11690-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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