【生態学】「外来」鳥類が新しい生息地での定着に成功する秘訣
Nature
2019年6月20日
「外来種」の鳥類は、新しい生息地の環境条件が元の生息地の環境条件に似ていると、新しい生息地で生き残る可能性が非常に高くなることを明らかにした論文が、今週掲載される。今回の研究は、一部の外来種の繁栄を支援する条件についての重要な見識をもたらすものであり、将来の外来種の移入を阻止しようとする場合にも役立つと考えられる。
人間の活動によって世界の姿が変わりつつある中で、外来種の問題が深刻化しており、外来種が在来種との競争に勝利して、在来種の絶滅につながることもある。しかし、繁栄する外来種と低迷する外来種が生じる理由は明らかになっていない。
今回、Tim Blackburnたちの研究グループは、700種以上の鳥類が関係する4000件以上の移入事例から得られたデータを調べて、移入種の定着に役立つ最も重要な決定因子が環境要因であることを見いだした。この環境要因には、それぞれの地域の気候や他の外来種の存在が含まれる。新しい生息地の気候条件にすでに前適応していた場合や、他の外来種がすでに定着していた場合には、外来種が定着する可能性が高かった。他の要因、例えば、一腹卵数や創始者の集団サイズは、それほど重要でなかった。
国際貿易が拡大し、より多くの生物種が世界中を移動するにつれて、外来種が定着する機会が増えると考えられる。Blackburnたちは、外来種の移入による悪影響を防止または軽減するための管理プログラムの強化が必要なことを強調している。
doi:10.1038/s41586-019-1292-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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