Research Press Release

【生態学】作物の多様性が収穫安定性を高める

Nature

2019年6月20日

作物の多様性が増すと、世界各国の作物の年間収穫量の安定性が大いに高まるという研究結果を報告する論文が、今週掲載される。

食料システムの安定は、世界的な食料需要の増加や低水準の穀物備蓄量、気候変動のために、世界規模でも国家規模でも脅かされている。オーストラリア、ロシア、米国など世界の主要な農業地域の一部では、過去10年間に干ばつと猛暑のために穀粒収量が減少した。収穫量と灌漑、作物の干ばつ耐性を高める政策が、安定性を高める解決策として提案されている。

今回Delphine RenardとDavid Tilmanが提唱した作物多様性-安定性仮説は、そうした解決策の1つとなる可能性がある。彼らは、91カ国の176種の作物の年間収穫量に関する50年間のデータを用いて、作物の多様性と各国の収穫量の安定性との関係を調べた。その結果、各国の収穫量の時間的安定性が、作物の多様性の増加による恩恵を直接的に受けることが明らかになった。また、収穫量の安定性がわずかに高まると、国内の収穫量が大幅に減少する年が出現する確率が大幅に低下した。これらの知見は、国内の作物の多様性の増加が気候変動性の増加の影響を相殺する可能性があることを示唆している。

doi:10.1038/s41586-019-1316-y

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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