【進化】南アフリカのヒト族の化石記録が乾燥期に限定されることを示唆するフローストーン
Nature
2018年11月22日
南アフリカ共和国の初期ヒト族の化石記録は、乾燥気候の時期に偏っていることを示唆する洞窟内堆積物の研究について報告する論文が、今週掲載される。今回の知見から、この化石記録には空白期間があり、そのためにこの地域の初期ヒト族に関する進化パターンが不明瞭になり、生息地と摂食行動の解明にも影響が及んでいる可能性のあることが示唆される。
南アフリカでは、ヨハネスブルグの北西に位置する一連の洞窟(いわゆる「人類のゆりかご」)から、初期ヒト族の化石が最も大量に出土している。しかし、洞窟内の化石が保存されていた堆積層が崩落して層の秩序が乱れているため、これらの化石の年代測定を正確に行い、その進化史を評価することは困難なことが判明している。
今回Robyn Pickeringたちの研究グループが解析対象にしたのは、化石が出土した堆積層を取り囲む分厚いフローストーン(流華石)で、そこから採取した微量の放射性同位元素を測定することで年代を決定できる。鍾乳石や石筍などのフローストーンは、洞窟内を流れる水に溶けていた鉱物が沈殿して形成される。Pickeringたちは、320万~130万年前の6つの期間中にフローストーンが形成されたことを明らかにした。また、Pickeringたちは、これらの期間が湿潤期であり、フローストーンの形成をもたらす流水が多くなって洞窟が閉鎖状態になり、外部からの堆積物やヒト族の遺骸が流入できなくなったために、フローストーンの形成が途切れなく続いた一方で、化石記録に空白が生じたという考えを示している。
これに対して、乾燥期に入ると、植生被覆が少なくなり、表面侵食が進み、洞窟に外部の堆積物が流入し、ヒト族の遺骸が洞窟内で保存されたと考えられる。Pickeringたちは、湿潤期には化石記録の空白が生じているものの、フローストーンから過去の気候変化に関する貴重な知見が得られると指摘している。
doi:10.1038/s41586-018-0711-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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