【動物学】ミツバチがウイルスを寄せつけなくなったのは菌類のおかげだった
Scientific Reports
2018年10月5日
ミツバチは、菌類の抽出物を摂取して、特定のウイルスによる感染の防御といった健康上の効用を得ていることを示唆する論文が、今週掲載される。
全世界でミツバチの健康状態が低下しており、これに大きく関わっているのがチヂレバネウイルス(DWV)やシナイ湖ウイルス(LSV)などのウイルスだとする報告がなされている。しかし、現在のところ養蜂家が利用できる認可された抗ウイルス剤はなく、養蜂家は殺ダニ剤を使って、ウイルス媒介の疑いのあるダニが湧いたミツバチの巣を削減している。
今回、Walter Sheppardたちは、実験室環境と野外での研究で、菌類に由来する抽出物がDWVとLSVに対する活性を有しているのかどうかを評価した。実験室環境では、飼育しているミツバチに菌類(ツリガネタケとコフキサルノコシカケ)の抽出物または砂糖シロップ(対照用)を餌として与えた。その結果、菌類の抽出物を与えられたミツバチは、砂糖シロップを与えられたミツバチと比べて、DWVとLSVの量が用量依存的に急減した。一方、野外実験では、ミツバチのコロニーにマンネンタケ属とツリガネタケ属のキノコの抽出物を餌として与えたところ、この食餌によって、12日後にはDWVとLSVの量が用量依存的に減少することが明らかになった。また、これとは別の菌類種の抽出物を与えても、ウイルス量は有意に減少したが、スクロース溶液を与えた対照コロニーでは、ウイルス量の減少はわずかだった。
今回の研究で調べた菌類抽出物は経口摂取で有効な物質であり、また、野生のミツバチはキノコを餌として摂取していることが観察されているため、養蜂家は今後、ミツバチの受粉サービスを維持するために菌類を利用できるかもしれない、とSheppardたちは考えている。
doi:10.1038/s41598-018-32194-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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