Research Press Release

ペットのザリガニが有害生物に進化した

Nature Ecology & Evolution

2018年2月6日

Crayfish evolved from pet to pest

ミステリークレイフィッシュ(別名マーブルクレイフィッシュ)というザリガニのゲノム塩基配列について報告する論文が、今週掲載される。この新種の無性生殖甲殻類はドイツで出回っていたペットからわずか20年前に生まれた。今回得られたゲノムによって、このザリガニがいかにしてマダガスカルの強力な侵入種となったのかが説明される。

1990年代に初めて同定されたミステリークレイフィッシュ(Procambarus virginalis、Marmorkrebsとも呼ばれる)は、ドイツの水槽でペットとして飼育されていた北米の近縁種スラウクレイフィッシュ(Procambarus fallax)の個体が、多くの有性生殖動物のように両親から1セットずつ受け継いだ計2セットの染色体に加えて、新たに第3の完全な染色体セットを獲得して生まれたと考えられている。それ以来、飼育されていたミステリークレイフィッシュは世界中の淡水生態系に広がり、マダガスカルには特によく適応したとみられる。

Frank Lykoたちは、自然界およびペット流通の両方に由来するミステリークレイフィッシュの11個体と共に、P. fallaxおよびもう1つの近縁種の個体に関して、ゲノムの塩基配列解読を行った。その結果、ミステリークレイフィッシュの全個体は遺伝的にほぼ同一であり、種が出現してからの変化はごくわずかであることが確認された。また、1組の染色体セットは残りの2組とはかなり異なっていることも分かり、この種が遠縁の2個体のP. fallaxから生じたことが示唆された。研究チームは、マダガスカルの自然界で捕獲された個体を利用することにより、現地の個体群が過去10年間で分布域を100倍に広げたことを明らかにし、そこに数百万匹が存在すると推定している。

今回の結果は、十脚類の甲殻類(カニ、ロブスター、およびエビ類を含む分類群)で最初となるゲノム塩基配列解読の結果を示している。また、いかにして新種が急速に出現し得るのか、そして、各個体内の遺伝的多様性のため、全個体が遺伝的にほぼ同一であってもいかにして各個体が生存できるのか、についての手掛かりももたらした。さらに、この侵入種がマダガスカルで急速に広がっており、それらが在来種および淡水生態系に害を与える可能性があることを強調している。

doi:10.1038/s41559-018-0467-9

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度