【老化】食餌中の脂肪が線虫の寿命を延ばす
Nature
2017年4月6日
線虫の食餌に一価不飽和脂肪酸を添加すると寿命が延びることを示唆する研究結果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。この新知見がヒトの健康と寿命と関わりがあることなのかどうかは、研究を続けることで明らかにしていく必要がある。
H3K4me3メチルトランスフェラーゼは、ヒストン修飾に関わる酵素である。ヒストンの修飾は、エピジェネティックな現象の1つで、これによって環境シグナルが遺伝子発現に影響を及ぼしている。H3K4me3メチルトランスフェラーゼが欠損していると線虫の寿命が延びることは既に知られているが、その機構は分かっていない。今回、Anne Brunetたちの研究チームは、H3K4me3メチルトランスフェラーゼが欠損している線虫において脂質の代謝が変化し、腸内で一価不飽和脂肪酸(MUFA)の蓄積が促進されることを明らかにした。その結果、線虫の食餌に一価不飽和脂肪酸(例えばオレイン酸、パルミトレイン酸)を補充すると、寿命が延びることも明らかになった。
脂質代謝は、数多くの生理過程と病理過程において重要な役割を担っている。ヒトの場合、脂肪がトリグリセリドとして過剰に貯蔵されていることは、アテローム性動脈硬化症、2型糖尿病などの疾患と関連しているが、脂肪の貯蔵が増加することが全ての事例で不健康だとする考えに異議を唱える研究報告が現れ始めている。一価不飽和脂肪酸は、身近な数々の食料源(例えば、赤身の肉、ナッツ類、オリーブ、アボカド)に含まれており、一価不飽和脂肪酸が豊富に含まれる食事は、心血管疾患と糖尿病のリスクが低いことと関連していると考えられてきた。ただし、ヒトにおける一価不飽和脂肪酸のメリットを正しく評価するには、さらなる研究が必要とされる。
doi:10.1038/nature21686
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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