膵臓がんの低コストで迅速な超高感度検出
Nature Biomedical Engineering
2017年2月7日
臨床現場で少量の未処理血漿検体から膵臓がんを検出し、膵臓がんと膵炎とを見分けることもできる検査法についての報告が、今週のオンライン版に掲載される。今回の研究は、この迅速、低コストで超高感度な方法について、血中バイオマーカーが知られている他の疾患の診断およびモニタリング用に容易に改変することができる可能性を示唆している。
臨床現場で検査を実施するには、その検査が迅速、高感度、特異的であり、検体の処理が最小限で済むことが求められる。しかし、血中に存在するがんのバイオマーカーを検出するために開発されたアッセイには、時間のかかる工程を要するものが多い。
Ye Huたちは、膵臓がんに特異的なタンパク質(エフリンA型受容体2)の存在を定量化することによって0.001 ml(1 μl)という少量の未処理血漿から膵臓がんを診断することができる迅速で超高感度なアッセイ(検査法)を明らかにした。このアッセイを用いたところ、健常被験者48例、膵炎患者48例、およびステージI~IIIの膵臓がん患者59例を対象とする予備試験で、臨床現場で日常的に利用されている唯一のがんバイオマーカーCA19-9と比較して高感度かつ高特異性(85%超)で膵臓がん患者を特定した。
さらに大規模で前向きなコホート研究で検証する必要があるが、このアッセイは、膵臓がんなどのがんおよび感染症の早期発見、治療、およびモニタリングを改善する可能性がある。
doi:10.1038/s41551-016-0021
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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