Research Press Release
サボテンが直面する破滅的な危機
Nature Plants
2015年10月6日
サボテンは、現在までに評価が行われている植物群として最も絶滅が危惧される部類のものであり、30%を超える種が絶滅の危機にあるという研究報告が、今週のオンライン版に掲載される。
植物種の絶滅の可能性はあまり明らかにされておらず、推定30万種のうち評価が行われているものは1万9374種にとどまる。サボテンは文化的に重要な植物群であり、基本的にアメリカ大陸の乾燥した環境に分布している。また、長く人類はサボテンを鑑賞園芸用、食用、および薬用にしてきた歴史がある。この地域が直面する困難にもかかわらず、熱帯林などほかの環境に向いている保全への関心はこの地域に寄せられていない。
Barbara Goettschたちは、現生するサボテン1480種のうち1478種に関して絶滅のリスクを明らかにした。それによれば、サボテンは、現在までに評価が行われた植物分類群の中で、絶滅の危機が5番目に深刻であることが分かった。絶滅危惧種が最も多いのは、ブラジル・リオグランデドスウ州南部、およびウルグアイ・アルティガス県北部である。サボテンが直面する危機のなかでも特に重大なものは、農業用および水産養殖用としての土地の転用、生物学的資源としてのサボテンの収集、および住宅用・商用の開発である。
大量の資源を投入せずとも、大きな植物分類群に関して包括的な種の評価を行える可能性を今回の研究が示しているのではないかと研究チームは考えている。
doi:10.1038/nplants.2015.142
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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