【化石】羽毛の生えた大型のドロマエオサウルス科恐竜
Scientific Reports
2015年7月16日
羽毛恐竜であるドロマエオサウルス科恐竜は、鳥類に最も近縁な絶滅種の1つだが、このほど、腕の短い大型のドロマエオサウルス科恐竜の化石が中国東北部の遼寧省で発見されたという報告が、今週掲載される。もっと小型で羽毛のあるドロマエオサウルス科恐竜の化石は既に発見されているが、今回報告されるのは、それよりも大型で腕の短いドロマエオサウルス科恐竜に羽毛が生えていたことを示す初めての化石証拠だ。この化石標本は、遼寧省で発見され既に有名になっている白亜紀前期の羽毛恐竜に多様性が見られることを示している。
遼寧省のドロマエオサウルス科恐竜は、その大部分が飼い猫や中型犬ほどの大きさの小動物で、前肢が長く、幅の広い翼は羽毛で覆われていた。ただし、その例外として、ティアンユラプトルの化石標本の報告例1例があった。ティアンユラプトルは、体長が2メートルに達する大型の動物で、前肢が比較的短く、羽毛は保存されていなかった。そのため、こうした珍しいボディープランを有するドロマエオサウルス科恐竜の近縁種に羽毛があったかどうかは未解決の問題となっていた。
今回、Junchang LuとStephen Brusatteが報告している“Zhenyuanlong”という名の新たな化石は、腕の短いドロマエオサウルス科恐竜の報告例としてわずか2例目で、腕と尾に羽毛が生えていることが初めて見つかった。Zhenyuanlongとティアンユラプトルの違いは、ティアンユラプトルよりやや小さいこと(体長126~165cm)とそれに比例して腕が短いことだが、この短い前肢が羽毛の生えた大型の翼を支えていた。この翼が何らかの飛翔能力に役立っていたかどうかは分かっていない。
doi:10.1038/srep11775
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