注目の論文
結核の新薬候補
Nature Medicine
2013年8月5日
Potential new drug for tuberculosis
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の成長を阻害する新しい薬の報告が寄せられている。これによって、薬剤耐性結核(TB)の治療の選択肢が増えるかもしれない。
世界の人口の3分の1には結核菌が潜伏感染しており、TBによる死者は毎年100万人を超える。多剤耐性結核菌が広がっているため、改良型の新薬の開発が緊急に求められている。
Kevin Petheたちは、マクロファージでの結核菌の成長を阻害する薬を求めて化学物質ライブラリーのスクリーニングを行い、有力候補としてイミダゾピリミジンアミドを見つけだした。次にこの化合物を改良して、化合物Q203を作製した。このQ203は、試験管内でもTBのマウスモデルでも効果を示し、結核菌の電子伝達鎖の一部が標的となるため、細胞のエネルギー生産に必要なATP合成過程が阻害される。
この知見によって、ATP合成を標的とすれば活性な結核菌と潜伏感染した結核菌の両方を根絶できる可能性があることが裏付けられ、今後、臨床的に検討すべき新薬候補が得られた。
doi: 10.1038/nm.3262
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