注目の論文
プリオンタンパク質の新たな役割
Nature Neuroscience
2010年1月25日
A new role for prion protein
これまで「狂牛病」とのかかわりが示されていたプリオンタンパク質は、末梢神経の軸索を包み込むミエリン鞘の維持にも重要であるという研究報告が、Nature Neuroscience(電子版)に掲載される。これは、正常な脳の機能に謎のタンパク質であるプリオンが果たす新たな役割を示唆するものだ。
A Aguzziらは、プリオンタンパク質欠損マウスを調べた。このマウスはプリオン感染に抵抗性をもつことが知られるが、末梢神経細胞やそれを包むミエリン鞘の遅発性変性など多くの異常も示す。プリオンタンパク質が末梢ミエリンの維持にどう寄与しているか明らかにするため、神経細胞自体と、その周囲にありミエリン鞘を作るシュワン細胞とでプリオン欠損の影響を比較した。意外にも、神経細胞中のプリオンタンパク質が失われるだけでミエリン鞘の喪失が起こることがわかった。シュワン細胞のプリオンタンパク質を除去しても何の影響もなかった。
脱随したニューロンは重い健康問題につながる。ミエリン維持過程にかかわる新成分の発見により、新たな治療手段が生まれるかもしれない。
doi: 10.1038/nn.2483
注目の論文
-
6月25日
ゲノミクス:古代 DNA がカルパチア盆地の多様なコミュニティー組織を明らかにするNature Communications
-
6月24日
化学:細菌がプラスチック廃棄物を鎮痛剤に変換Nature Chemistry
-
6月19日
人類の進化:アフリカからの移動に先立つ、人間の生息域の大幅な拡大Nature
-
6月19日
気候変動:気候変動が作物生産に与える影響を評価するNature
-
6月19日
動物行動学:蛾の航行は星空に導かれているNature
-
6月17日
都市:人工光が都市部の生育期を延長させているNature Cities