注目の論文
【人類学】リチャード獅子心王の心臓は何を物語る
Scientific Reports
2013年2月28日
Anthropology: The tell-tale heart of Richard the Lionheart
勇敢な戦士としての評判を得て「リチャード獅子心王」という愛称のついたリチャード1世は、1199年にフランスのシャールースで、戦闘中に負傷した後死去した。当時の慣行に従って、ほとんどの内臓器官は、シャールースで埋葬され、心臓は、別途防腐処理されてから納棺され、ルーアン大聖堂に埋葬された。そして、遺体の残りの部分はフォントヴロー修道院に埋葬された。その後、この心臓の残留物(白みがかった茶色の粉末)の入った小さな鉛の箱が、1838年のルーアン大聖堂の発掘調査の際に発見された。
今回、P Charlierたちは、リチャード1世の死をめぐる状況と心臓の死後処理についての解明を進めるため、防腐処理された心臓のサンプルについて完全な生物医学的解析を行った。この解析結果では、心臓の防腐処理にギンバイカ、ヒナギク、ミント、フランキンセンス(乳香)、クレオソート、水銀が用いられ、もしかすると石灰も用いられており、心臓が麻布で包まれていたことが示されている。この防腐処理過程の目的は、組織の長期的な保存であったと考えられ、この点は、シャールースとルーアンが530キロメートル離れていたため重要だった。また、Charlierたちは、心臓の防腐処理に用いられた材料の一部が、聖書の原句から着想を得て選定された可能性があると考えている。
doi: 10.1038/srep01296
注目の論文
-
5月15日
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
5月15日
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
5月14日
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
5月14日
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature
-
5月13日
健康:片頭痛治療は発症前に症状を緩和するNature Medicine
-
5月13日
動物学:野生チンパンジーの母子間の愛着スタイルは人間に似ているかもしれないNature Human Behaviour