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気候:南極氷床の質量損失減速は一時的な現象である可能性

Nature

2026年8月20日

Climate: Slowing of Antarctic ice sheet mass loss likely temporary

Nature

2021年から2023年にかけて、南極氷床の質量減少率が一時的に鈍化したのは、数千マイル離れた亜熱帯海域での海水温上昇が、南極東部での降雪量の増加をもたらしたことがあるとする論文が、Natureにオープンアクセスで掲載される。この現象はおよそ10年に1度発生すると考えられており、氷床全体の質量減少の停滞は、地球温暖化の影響とは区別される一過性の現象である可能性が高い。

南極氷床の質量変化は、数千マイル離れた場所での気候現象を含め、数多くの要因の影響を受ける。2021年から2023年にかけて、東南極では氷床質量の増加が見られ、その増加量が西南極での減少量を上回ったため、氷床全体の質量減少率が鈍化した。これまでの研究でもこの現象の説明が試みられてきたが、決定的な結論は得られていなかった。

Qinghua Dingら(カリフォルニア大学サンタバーバラ校〔米国〕)は、観測データとモデル実験データの両方を用いて、この異常現象に関する新たなメカニズムを提唱している。著者らは、この質量増加現象を、熱帯温暖水域における海面水温の異常と関連づけている。熱帯温暖水域とは、西太平洋と東インド洋の間に位置し、海面水温が定期的に28℃を超える海域のことである。この海域では、2021年から2023年にかけて、過去20年間と比較して異常に持続的な温暖化が見られたことが示されている。著者らは、この温暖化が「ロスビー波列(Rossby-wave train;高気圧と低気圧が交互に現れる一連の気象パターン)」と呼ばれる現象を誘発すると考えている。この過程を経て、最終的に東南極上空に高気圧偏差が生じ、降水量が増加して氷床質量の増加につながるとされる。東南極地域の氷床コアの分析からは、遠く離れた2つの地点間の気候変化を結びつけるこの気候事象が、およそ10年に1回の頻度で発生し得ることが示唆される。したがって、この氷床質量の増加は一時的なものにとどまる可能性が高い。

同時掲載されるNews & Views記事の著者であるJonathan Willeは、「南極大陸や地球のほかの地域の将来を理解するためには、熱帯気候の変動も考慮に入れなければならない」と強調している。

Wang, Y., Ding, Q., Li, X. et al. Multiyear tropical warm pool warming drives slowdown in Antarctic mass loss. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10912-x

News & Views: The Antarctic ice sheet has gained mass — but probably not for long
https://www.nature.com/articles/d41586-026-02376-w


 

doi: 10.1038/s41586-026-10912-x

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