天文学:超巨星の進化の軌跡をたどる
Nature Astronomy
2026年2月24日
Astronomy: Tracing a supergiant star’s evolutionary journey
宇宙で知られている最大級の恒星の一つ、WOH G64は、2013年から2014年にかけて黄色の超巨星へと移行したかもしれないことを報告する論文が、Nature Astronomy に掲載される。この変化は、恒星進化をリアルタイムで観察する貴重な機会を提供し、異なるプロセスが大質量星の最終段階とその結果生じる超新星をどのように形作るかを調査する手がかりとなる。
赤色超巨星とは、太陽の質量の8倍以上を持つ恒星であり、寿命はわずか100万~1000万年と比較的短く、最終的に超新星として爆発する。しかし、最も明るい赤色超巨星の進化と運命はいまだに不明な点が多い。1980年代の発見以来、WOH G64は近傍の大マゼラン雲(Large Magellanic Cloud)において最も明るく、最大(半径は太陽の1540倍)、かつ最も低温の赤色超巨星の一つと見なされてきた。この特性が恒星進化研究におけるユニークな事例となっている。
WOH G64の進化を調査するため、Gonzalo Muñoz-Sanchezら(アテネ国立天文台〔ギリシャ〕)は、1992年から30年以上にわたる光度測定データを検証し、新規および既存の電磁スペクトルと組み合わせた。その結果、この星は急速な変化を経験したことが判明した。2011年に最初に減光した後、回復し、2013年から2014年にかけてより黄色く、より高温(1000℃以上上昇)になったのである。2025年には、著しく減光し、また、大気化学にも変化が生じた。
これらの現象を説明するため、著者らは二つのシナリオの可能性を提示している。第一に、WOH G64は連星系の一部であり、赤色超巨星が大気の一部を放出する相互作用を引き起こし、黄色超巨星へと移行した可能性がある。別のシナリオでは、黄色超巨星が物質噴出を起こし、2014年まで数十年にわたり赤色に見えた状態が続いたと考えられる。
この発見は、WHO G64のような極端な赤色超巨星が連星系ゆえに存在するのか、すなわち単一星ではこの極端な状態には達しないのか、という新たな疑問を提起している。今後の相互作用によって、この星が超新星爆発を起こすか、ブラックホールへと崩壊するか、あるいは伴星と合体するかが決まることになる。
- Article
- Published: 23 February 2026
Muñoz-Sanchez, G., Kalitsounaki, M., de Wit, S. et al. The dramatic transition of the extreme red supergiant WOH G64 to a yellow hypergiant. Nat Astron (2026). https://doi.org/10.1038/s41550-026-02789-7
doi: 10.1038/s41550-026-02789-7
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