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気候:人為的な海面上昇が沿岸部の異常気象の発生頻度を高めている

Nature Climate Change

2026年6月11日

Climate: Human-driven sea-level rise increases frequency of coastal extremes

Nature Climate Change

人為的な要因による海面上昇により、1900年以降、沿岸部における極端な海面上昇現象の発生頻度は4倍に増加したことを報告する論文が、Nature Climate Change に掲載される。この知見は、気候変動がすでに沿岸部の洪水リスクを変化させていることを示唆しており、こうした変化を適応策やリスク管理戦略に組み込む必要性を明らかにしている。

極端な海面水位は、基準となる海面水位の上昇に潮汐や高潮が重なることで発生し、インフラや生態系に被害をもたらす沿岸洪水を招く。世界中で6億8000万人以上が低地の沿岸地域に住んでおり、そこではわずかな海面水位の変化でも洪水リスクに重大な影響を及ぼしうる。長期的な海面上昇については、広く研究されてきたものの、人為的な気候変動がすでに極端な事象の頻度にどの程度影響を与えているかについては、依然として不確実性が残っていた。

Sönke Dangendorfら(テュレーン大学〔米国〕)は、潮位計の観測データと気候モデルによるシミュレーションを組み合わせ、1900年から2005年にかけての極端な海面水位現象の発生頻度の変化を分析した。著者らの世界規模の分析によると、海面上昇による「100年に1度の洪水」(すなわち、特定の年に発生する確率が1%の洪水)の発生頻度の中央値は、調査期間中に12倍以上増加し、「8年に1度の洪水」(特定の年に発生する確率が12.5%の洪水)となった。温室効果ガスの排出や土地利用の変化といった人為的要因の影響を受ける、地球の大気による太陽放射の吸収と放出のバランスである「人為的放射強制力(Human-driven radiative forcing)」のみでも、こうした事象の発生確率は約4倍に高まった。火山エアロゾルやエルニーニョ・南方振動(ENSO:El Niño–Southern Oscillation)などの要因を含む自然変動も寄与したものの、ほとんどの沿岸地域においてその影響は相対的に小さかった。

著者らは、頻度の中央値の変化の深刻さをふまえ、将来の洪水リスクを抑制するためには、緊急の適応策と持続的な緩和策が不可欠であると結論づけている。ただし、本研究の限界として、潮位計による直接観測データが北米やヨーロッパの沿岸部に集中しており、分布に偏りがある点を指摘している。また、2005年以降の気候モデルによるシミュレーションデータが限られている点も指摘している。

シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 13(気候変動に具体的な対策を)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases」をご覧ください。

  • Article
  • Published: 10 June 2026

Dangendorf, S., Sun, Q., Maduwantha, P. et al. Human-driven sea-level rise has quadrupled the frequency of coastal sea-level extremes since 1900. Nat. Clim. Chang. (2026). https://doi.org/10.1038/s41558-026-02659-0
 

doi: 10.1038/s41558-026-02659-0

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