注目の論文
言語学:トランスユーラシア語族のルーツは農業にあった
Nature
2021年11月11日
Linguistics: Agricultural roots for Transeurasian languages
トランスユーラシア語族(日本語、韓国語、ツングース語、モンゴル語、チュルク語からなる)は、約9000年前の中国に起源があり、その普及は農業によって促進された可能性があることを明らかにした論文が、Nature に掲載される。今回の研究は、東ユーラシア言語史における重要な時期について解明を進める上で役立つ。
トランスユーラシア語族は、東は日本、韓国、シベリアから西はトルコに至るユーラシア大陸全域に広範に分布しているが、この語族の起源と普及については、人口の分散、農業の拡大、言語の分散のそれぞれが議論を複雑化させ、激しい論争になっている。
今回、Martine Robbeetsたちは、3つの研究分野(歴史言語学、古代DNA研究、考古学)を結集して、トランスユーラシア語族の言語が約9000年前の中国北東部の遼河流域の初期のキビ農家まで辿れることを明らかにした。その後、農民たちが北東アジア全体に移動するにつれて、これらの言語は、北西方向にはシベリアとステップ地域へ、東方向には韓国と日本へ広がったと考えられる。
トランスユーラシア語族に関しては、もっと最近の紀元前2000~1000年ごろを起源とし、東部のステップから移動してきた遊牧民が分散を主導したとする「遊牧民仮説」が提唱されているが、今回の知見は、この仮説に疑問を投げ掛けている。
doi: 10.1038/s41586-021-04108-8
注目の論文
-
10月21日
気候変動:米国の都市における肉の消費がもたらすカーボンコストNature Climate Change
-
10月15日
惑星科学:火星における氷と炎の物語Nature Communications
-
10月8日
材料科学:通常のプラスチックと同等の強度を持つ生分解性の竹プラスチックNature Communications
-
10月7日
材料:海洋から回収した炭素を生分解性プラスチックに変換Nature Catalysis
-
10月1日
考古学:岩絵は古代アラビア砂漠で繁栄する人類を描いているNature Communications
-
9月26日
生態学:世界大戦時の沈没残骸が野生生物の生息地となっているCommunications Earth & Environment
