注目の論文
新たな化学的クリック
Nature Chemical Biology
2010年1月25日
New chemistry clicks
生細胞内の修飾脂質を追跡する新しい方法が、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される。この強力な技術は、関連の化学反応「クリック」ケミストリーのように、タンパク質の機能や修飾など、あらゆる細胞過程を研究するための一般化可能なプラットフォームとなる可能性がある。
クリックケミストリーで最も有名な例は、三重結合をもつアルキンと窒素原子3個をもつアジドとの結合による五員環の形成である。この反応を利用して、さまざまな細胞内分子に蛍光ラベルなどの標識物質が付加され、容易に観察および分析が行われている。しかし、これは永久的な修飾であり、その生体内標的の構造や機能が本当はどんなものであるのかを明らかにするのが困難である。
A Brownたちは、長い脂質の尾に挿入されているアルキンとの結合に含コバルト分子を用いた。この反応は、アジドと同等の特異性をもちながら可逆的であるため、コバルトと結合した脂質は、細胞からの抽出後、正しく分析することができる。実験室と同じように、機能を変化させずにアルキンを挿入することができる分子は多数存在するため、この方法は、細胞の機能を化学的、生物学的に解明するための能力を強化するものと考えられる。
doi: 10.1038/nchembio.311
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