注目の論文
細胞にうまく入り込むのは縞模様のナノ粒子
Nature Materials
2008年5月26日
Nanoparticles need ‘stripes’ for cellular success
目立った細胞破壊を起こさずに細胞に入り込むことができるナノ粒子が、Nature Materials(電子版)で報告されている。これらのナノ粒子は、2種類の分子で「ストライプ」状に覆われると、非常に防護性の高い細胞膜のバリアを、細胞死につながる孔を形成せずに直接通過することができる。このメカニズムを利用すれば、生物活性分子を治療目的で細胞に送達できるかもしれない。
直接細胞膜を通過できる生体分子もあるが、同程度のサイズの合成粒子で同様のメカニズムが起こる可能性については、以前から議論がなされていた。通常、合成物が細胞に取り込まれても、サイトゾルとよばれる細胞の主要流動部分ではなく、小さな区画内の限られた部分に到達するにすぎない。また、正に帯電したナノ粒子などの物体も、プロセス中に膜を破壊する小さな過渡的な孔を形成し、細胞死をもたらしうる。
F Stellacciらは、金のナノ粒子が、負電荷を持つリガンドと疎水性リガンドが交互に配列した「ストライプ」模様で覆われていれば、破壊を起こさずに細胞膜を通過しサイトゾルに到達可能であることを示している。これらのリガンドがランダムに配列したナノ粒子は、リガンド比が同じであっても、膜を直接通過できない。
doi: 10.1038/nmat2202
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