注目の論文
イガイが執着するもの
Nature Chemical Biology
2011年8月1日
Mussels stick to it
イガイ類が岩などの表面に張り付く仕組みの化学的基盤が、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される。
イガイをはじめとする付着性の海洋生物は、いかなる人造接着剤も及ばない強力な表面付着力を持つことから、生体材料研究者の着想の源となっている。イガイ類は、接着物質の重要な要素として、アミノ酸チロシンが修飾されたDOPAを利用していることが知られている。そうしたタンパク質は、近接するあらゆる表面と接着してしまうために実験が難しい点が研究者泣かせであり、その残基がきわめてよく機能すること自体がこの問題を解明するうえでの障害となっている。
H Waite、J Israelachviliたちは、精製物だけではなく、イガイが分泌したタンパク質をそのまま試験することにより、mfp-3およびmfp-6という2種類のタンパク質が同時に働いてその強力な相互作用が生まれていることを明らかにした。mfp-6は、mfp-3のDOPA残基を電子が多い還元型の状態に維持して、その接着性を最大化している。
doi: 10.1038/nchembio.630
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