注目の論文
メード・イン・イースト
Nature Chemical Biology
2008年8月11日
Made in yeast
ニコチンやコデインなどの植物化合物群を酵母で生産する新しい方法を開発したという論文が、Nature Chemical Biology(電子版)で発表される。
この分子群はアルカロイドと呼ばれるもので、複雑すぎて化学合成ができない場合が多く、天然資源からの抽出も困難である。このため、今回の研究は、治療薬としての可能性を秘めながらこれまで入手不可能であった分子を多数もたらすことになる。
K HawkinsとC Smolkeは、一連の植物酵素を酵母に導入し、アルカロイド分子の主要な前駆体であるレチクリンが酵母で生産されるようにした。さらに、別の植物酵素およびヒト酵素を組み合わせることにより、サンギナリン(抗歯垢特性をもつ練り歯磨き添加物)、ベルベリン(抗生物質)、およびモルヒネ(鎮痛薬)の前駆体を産生する酵母を作り出した。また、酵素「チューニング」法により、アルカロイドの産生を最大化しながら酵母のリソースコストを最小化した。
この組み換え酵母は、自然界に存在しない新たなアルカロイドの合成に役立つと考えられ、アルカロイド治療薬の新たな商業生産法の基盤となる可能性もある。
doi: 10.1038/nchembio.105
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