【生態】一部のネオニコチノイド系薬剤による種子粉衣がミツバチのコロニーに悪影響を及ぼす可能性
Scientific Reports
2015年8月20日
Ecology: Some neonicotinoid seed coatings may impact honey bee colonies
英国のイングランドとウェールズで2000~2010年にイミダクロプリド(ネオニコチノイド系殺虫剤の一種)を使ったセイヨウアブラナ(Brassica napus)の種子粉衣(種子コーティング)の使用が増えたことが、ミツバチのコロニー消失の増加と関連していることを示唆するデータを示す論文が、今週掲載される。また、今回の研究では、ネオニコチノイド系薬剤による種子粉衣を用いた農業生産者は、その後の殺虫剤の散布回数を減らしており、経済的利益があった可能性のあることも分かった。
今回、Giles Budgeたちは、2000~2010年の11年間のイングランドとウェールズにおける農薬使用量、土地利用、セイヨウアブラナの収量、気象条件、ミツバチのコロニー消失について記述されたデータセットの解析を行った。その結果、セイヨウアブラナに使用されるイミダクロプリドの量的増加とミツバチのコロニー消失の増加が相関していることが明らかになった。ただし、ミツバチのコロニー消失には地域差が見られ、春の低温もコロニー消失と関連していた。
また、種子粉衣されたセイヨウアブラナを使用する農業生産者は、他の殺虫剤の散布回数を減らしたことも分かった。その一方で、Budgeたちは、今回の解析対象期間中にイミダクロプリドによる種子粉衣がセイヨウアブラナの収量に及ぼした影響は、常にプラスあるいはマイナスとはならなかったことも指摘している。
Budgeたちは、一斉開花性作物に使用されるネオニコチノイド系薬剤による種子粉衣が花粉媒介者に及ぼす影響を解明するためには、大規模な圃場実験など、さらなる研究が必要だと考えている。
doi: 10.1038/srep12574
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