Cover Story: 空間状況の把握:AIを活用した免疫細胞分布プロファイリングで肝臓がん再発リスクが明らかに
Nature 640, 8060 (2025年4月24日)
腫瘍微小環境を構成する細胞と血管の複雑な生態系は、腫瘍の形成、増殖、治療への反応に大きな影響を与える。免疫細胞の分布や位置といった微小環境の特徴を用いることで、疾患転帰を予測できる可能性がある。今回C Sunたちは、こうした情報を利用して肝細胞がんの術後の再発を人工知能(AI)で予測する、画像ベースのスコアリング手法を開発している。著者たちは、肝臓がんの中で最も一般的なタイプで再発率の高い、肝細胞がんに着目した。その結果、ナチュラルキラー細胞と呼ばれる免疫細胞の空間分布とそれらが発現する5つの遺伝子が良好な術後転帰と関連することが見いだされた。これによって研究チームは、微小環境のどこでこれらの遺伝子が発現しているかに基づいて肝がんの再発を予測できる、AIを用いた空間プロファイリングシステム「腫瘍免疫微小環境空間(TIMES)スコア」を生み出すことができた。