Nature

Cover Story: 顎関節の進化:頭蓋化石が明らかにした哺乳類の顎への複雑な進化経路

Nature 647, 8089 (2025年11月13日)

哺乳類を他の脊椎動物と区別する特徴の1つは顎である。有顎脊椎動物の多くは下顎に複数の骨を持つが、哺乳類の下顎の骨はたった1つである。この顎構造の進化は、化石記録において、哺乳類を他の脊椎動物と区別する指標として長年用いられてきた。今週号ではF Maoたちが、哺乳類の顎関節の進化に関する新たな詳細を明らかにしている。研究チームは、トリティロドン類のポリストドン(Polistodon chuannanensis、表紙はその想像図)を再検討するとともに、モルガヌコドン類の新属新種Camurocondylus lufengensisを報告し、マイクロコンピューター断層撮影(マイクロCT)を用いて、哺乳類の祖先であるこれら2種の頭蓋骨を詳細に調べた。ポリストドンの頭蓋化石は約1億6000万年前のもので、これまで知られていなかった顎関節の形状が見られた。Camurocondylusの頭蓋骨はさらに古く、約2億年前の前期ジュラ紀にさかのぼるもので、顎関節の新規な形状が認められた。こうした多様な顎関節は、哺乳類の顎に至る進化の経路が、生態的圧力への応答により独立して生じた複数の新機軸の1つであることを示していると、著者たちは主張している。

今週の目次とハイライト The Nature Top Ten バックナンバー

Nature注目のハイライト

その他のハイライト

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

Nature 創刊150周年記念特集

著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

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