Nature

Cover Story: 重力波の波紋:遭遇する2つのブラックホールの重力散乱過程を高精度で予測する

Nature 641, 8063 (2025年5月15日)

一般相対性理論によれば、ブラックホールや中性子星などの大質量天体が互いにすれ違う際、重力相互作用によって軌道が変化し、重力波が放出される(表紙は、2つのブラックホールが遭遇する際のこの過程を描いたものである)。現在、専用の観測施設によって、連星合体に起因する重力波が日常的に検出されるようになったものの、こうした相互作用の結果を正確に予測することは依然として難しい。今週号ではJ Plefkaたちが、遭遇する2つのブラックホールが互いに散乱し合うときに何が起こるのかを高精度に予測する新たな手法を提示して、この問題に取り組んでいる。著者たちは、摂動論を土台として、問題をスーパーコンピューター上の線形方程式解法に置き換えることで、高次元積分を数百万件にわたって計算した。解析の結果、より単純な近似では現れないカラビ・ヤウ多様体と呼ばれる数学的構造が解に現れることが見いだされた。こうした幾何学的構造は、重力波散乱過程で放出されるエネルギーを記述するのに役立ち、一般相対性理論と幾何学をつなぐ架け橋となる。

今週の目次とハイライト The Nature Top Ten バックナンバー

Nature注目のハイライト

その他のハイライト

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

Nature 創刊150周年記念特集

著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

その他のNature 著者インタビュー

Nature Café

ネイチャー・リサーチが主催するサイエンスカフェです。グローバルな視点から様々な分野のサイエンスについて、カジュアルな雰囲気の中、一緒に語り合います。

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