Nature ハイライト

Cover Story:エアロゾルのベールに隠された脅威:火山噴火の研究から、気候工学による太陽光の遮蔽が作物にもたらすリスクが明らかになった

Nature 560, 7719

太陽放射管理は、反射性エアロゾル(青色)を高層大気に投入することで地球の冷却を目指す方法だが、これらのエアロゾルは雲の層(灰色)のはるか上にとどまり、気温、太陽光、降水量を変化させて、作物(緑色)の成長に影響を及ぼす可能性がある。
太陽放射管理は、反射性エアロゾル(青色)を高層大気に投入することで地球の冷却を目指す方法だが、これらのエアロゾルは雲の層(灰色)のはるか上にとどまり、気温、太陽光、降水量を変化させて、作物(緑色)の成長に影響を及ぼす可能性がある。 | 拡大する

Credit: Jonathan Proctor and Solomon Hsiang

表紙は、フィリピンのピナツボ山の1991年の噴火で生じた粉塵のベールによって地球が暗くなり冷却される様子を表したイラストである。こうした事例に着想を得て、硫酸塩エアロゾルの前駆物質を成層圏に投入して温暖化する気候の影響を緩和しようという気候工学的提案がなされている。今回J Proctorたちは、ピナツボ山の噴火とメキシコのエルチチョン噴火(1982年)を自然実験として用いて、そうしたエアロゾルのベールが全球の作物収量に与える影響を調べている。その結果、成層圏のエアロゾルによって生じた太陽光の変化は、トウモロコシ、ダイズ、イネ、コムギの収量に悪影響を及ぼすことが分かった。次に著者たちは、気候工学シナリオをモデル化し、この技術による冷却から得られる作物生産の利益は、遮光による損害によって相殺されてしまうことを見いだした。今回の結果は、全球の農業生産や食料安全保障に対する気候変動の脅威は、硫酸塩エアロゾルを用いて太陽光を遮る気候工学では緩和できないと思われることを示唆している。

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