Nature ハイライト

分子生物学:PINK1とparkinの関係についての最新事情

Nature 559, 7714

parkinとPINK1は重要な酵素だが、それは損傷を受けたミトコンドリアのマイトファジー過程による除去を仲介する役割を担っているからだけではなく、それらの変異が常染色体劣性(潜性)若年性パーキンソン症候群に関連しているからである。分子レベルでは、parkinは自己阻害状態にあり、その活性化にはPINK1の活性が必要である。PINK1はparkinのUbl(ubiquitin-like)ドメインとユビキチンタンパク質の両方をリン酸化し、これによってparkinはユビキチンと結合できるようになる。この分子経路についての構造的な手掛かりはいくつか得られているものの、parkinのリン酸化がその活性化につながる仕組みはまだ分かっていなかった。今回、D Komanderたちは完全長ヒトparkinの分解能1.8 Åでの最新の結晶構造を報告し、これによって活性化の仕組みについての情報がもたらされた。この構造を質量分析のデータと組み合わせたことで、活性化過程に伴ってドメインの再配列が起こることが明らかになった。意外にも、parkinのUblドメインと他のドメインの間にある保存されたリンカー領域が活性化エレメントとして働き、常染色体劣性若年性パーキンソン症候群の患者では、このエレメントの機能が影響を受けていることが分かったのである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度