分子生物学:PINK1によるparkin活性化の機構
Nature 559, 7714 doi: 10.1038/s41586-018-0224-x
E3ユビキチンリガーゼparkin(PARK2、別名PRKN)とプロテインキナーゼPINK1(別名PARK6)の変異は、常染色体劣性(潜性)若年性パーキンン症候群(AR-JP)に関連付けられている。細胞レベルでは、これらの変異はマイトファジー、すなわち損傷を受けたミトコンドリアの破壊を組織化する細胞過程に異常を引き起こす。parkinは自己阻害されていて、その活性化にはPINK1が必要であり、PINK1はユビキチンのSer65とparkinのUbl(ubiquitin-like)ドメインをリン酸化する。parkinがリン酸化ユビキチンに結合すると、parkinの効率的なリン酸化が可能になる。しかし、この段階ではparkinは自己阻害されたままで、活性部位への接近は不可能である。parkinのリン酸化がparkinを活性化する仕組みはまだ分かっていない。今回我々は、水素重水素交換質量分析を使って完全長ヒトparkinの活性化を追跡し、活性化過程で大規模なドメイン再配列が起こることを明らかにした。この過程では、リン酸化されたUblがparkinの中核部分に改めて結合し、RING2触媒ドメインが解離される。リン酸化されたヒトparkinの1.8 Å分解能での結晶構造から、リン酸化UblのUPD(unique parkin domain)上の結合部位が明らかになった。UPDドメインには、AR-JPで見られる変異によって覆われるリン酸結合ポケットが含まれる。UblとUPDの間にある保存されたリンカー領域は活性化エレメント(ACT)として働き、UPD上でのRING2の相互作用を模倣することによるRING2の解離に関わっていて、これはAR-JP変異が持つ意味のさらなる説明となる。我々のデータは、parkinの自己阻害が解消される仕組みを明らかにしたもので、parkinが切り離されたRING2ドメインを介して、その基質をユビキチン化する機構を示唆している。これらの知見は、臨床で使用するためのparkin活性化剤の設計に新たな道筋を開く。

