Nature ハイライト

Cover Story:免疫サービス:ヒトペプチドローディング複合体の構造から免疫系のプライマーが明らかになった

Nature 551, 7681

表紙は、細胞の小胞体膜(灰色)をまたがるヒトペプチドローディング複合体(PLC)の構造である。PLCは、免疫応答の重要な要素であり、主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)分子へのウイルスなどの異物のペプチド断片の結合に関与する動的な複合体である。MHC-I分子が、ペプチド断片を人体の免疫細胞に提示し、侵入物に対する免疫系の抵抗が始まる。今回R Tampéたちは、クライオ(極低温)電子顕微鏡を用いてPLCの構造を明らかにし、複合体の編集モジュールがペプチド輸送体TAPの周りにどのように集まるか示している。さらに彼らは、MHC-Iへの抗原ペプチドの結合によってMHC-Iの構造が変化するため、安定なペプチド–MHC-I複合体の放出が促進され、免疫応答が始まることを見いだしている。この知見から、PLC、抗原プロセシング、MHC-Iを介した免疫が生じる仕組みの背後にある機構が垣間見えるようになってきた。

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