Nature ハイライト

ナノフォトニクス:分子スケールでのエネルギー移動の制御

Nature 538, 7625

エネルギー移動は、光合成や人工的なエネルギーハーベスティングデバイスに不可欠である。Y Kim(理化学研究所)たちは今回、走査トンネル顕微鏡法を用いて、実空間において分子サイズ以下の空間分解能でエネルギー移動過程をプローブできることを示している。これが可能なのは、分子二量体中のドナー種を局所的に励起させると、ドナー種と隣接アクセプター種の間で共鳴エネルギー移動が起こり、結果としてアクセプター種から発光信号が生じるからである。また、往復の共鳴エネルギー移動が観測された他、アクセプター種の構造が切り替わるために二量体内のエネルギー移動特性が変化することも示されている。今回の結果は、このタイプの局所的な励起ダイナミクスが、超高速の情報伝送や情報処理に向けて、分子構造体内のエネルギー移動を制御する単分子バルブデバイスとして発展する可能性を示すものである。

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