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環境科学:アメリカ大陸への人類移動は海沿いの経路で

Nature 537, 7618

1万3000年以上前に氷床の退氷によってできた無氷回廊の、南側の領域の現在の風景。
1万3000年以上前に氷床の退氷によってできた無氷回廊の、南側の領域の現在の風景。 | 拡大する

Credit: Mikkel Winther Pedersen

最終氷期の大半の期間は、シベリアから現在のベーリング海峡にまたがる「ベーリンギア」と呼ばれる陸橋を経た北米への人類の移動が、大陸氷床によって妨げられていた。ある時点で、コルディエラ氷床とローレンタイド氷床の間に道が開けたが、この長さ1500 kmの無氷回廊はあまりにも寒冷で、人類の移動経路として機能することはなかったと考えられている。今回E Willerslevたちは、かつてこの無氷回廊だった場所の湖底堆積物コアを採取し、それに基づいた一連の環境構築結果を明らかにした。そのデータから見ると、この回廊は、氷床以南のアメリカ大陸に人類が到達したことが分かっている時期より後になっても、人類の生存に適さない場所であったと考えられる。このことは、人類が海沿いの経路で北米に移動したことを意味しており、その経路は後の海水準上昇で現在は海面下に沈んでいる。

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