Nature ハイライト

エピジェネティクス:不活性化されたX染色体の構造

Nature 535, 7613

雌の発生の際には、2本のX染色体の一方に由来する非コードRNAであるXistの発現上昇が引き金となって、X染色体の不活性化(XCI)が起こる。3C(chromosome conformation capture)法によって、不活性なX(Xi)染色体の局所構造が失われ、DXZ4マクロサテライトを含む領域を中間に挟む巨大ドメインが形成される。著者たちは、マウスの胚性幹細胞と神経前駆細胞(NPC)を用いて、Xi染色体の構造、クロマチンの接近可能性、発現状態を、対立遺伝子特異的Hi-C法、ATAC-seq法、RNA塩基配列解読法によって調べた。NPCのXi染色体では、X染色体の不活性化を逃れた遺伝子周辺以外はトポロジカル関連ドメイン(TAD)が失われることから、TAD形成は遺伝子活性によって推進されることが示唆される。DXZ4を含む領域とXistが、Xi染色体の巨大ドメイン構造を形作ることが分かった。

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