Nature ハイライト

遺伝学:ミトコンドリアDNAは代謝や老化に影響する

Nature 535, 7613

今回、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の配列のばらつきの影響が、J Enríquezたちによってマウスのコンプラスティック系統を用いて調べられた。コンプラスティックなマウスは、同一の核ゲノムを持つが、ミトコンドリアDNAは異なっている。そして、ミトコンドリアゲノムは、インスリンシグナル伝達、肥満、テロメアの短縮などのさまざまな生理学的性質に強い影響を及ぼし、その結果平均生存期間に違いが出ることが明らかになった。従って、病的なものではないmtDNAバリアントでも代謝に対しては幅広い影響をもたらし、高齢期になるとその影響が大きく現れる。著者たちは、ミトコンドリアゲノムと核ゲノムとの相互作用がこの現象に影響する重要な要因かもしれないと考えている。このことは、ミトコンドリア置換療法の分野に大きく関係してきそうだ。

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