Nature ハイライト

神経発生学:チョウはカラフルな世界を見る

Nature 535, 7611

チョウの色覚には3タイプの個眼が関わっている。個眼とは複眼の構成単位で、この3タイプの個眼が網膜全体にほぼランダムに分布している。チョウよりも色彩への感受性に依存していないショウジョウバエ(Drosophila)などの昆虫では、2つの主要タイプの個眼しかなく、個眼の細胞の運命はR7視細胞で転写因子Spinelessが発現されているかどうかによって決まる。C Desplanたちは今回、チョウの網膜では個眼それぞれに、2種のR7様視細胞が含まれることを明らかにした。それによって、ショウジョウバエのような2通り(オンまたはオフ)ではなくて、3通りの結果(オン/オン、オン/オフ、オフ/オフ)が生じる。著者たちは、このような戦略が、発生の結果の多様性を増すための単純な進化的手段なのではないかと考えている。

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