今週号の研究成果によれば、2000年に発生した太陽の激しい爆発が土星表面にその痕跡を残しており、これによって、太陽から飛び出して太陽系の半ばまで到達する高エネルギー粒子の流れを追跡することが可能であるという。太陽の外層は周期的に、宇宙空間に飛び出す荷電粒子のバースト、コロナ質量放出を引き起こしている。これらの荷電粒子が惑星大気中の原子に衝突すると光を放出し、空に揺らめくオーロラを発生させる。R Prangéたちは2000年12月7日と8日に、ハッブル宇宙望遠鏡を使って土星のオーロラを観測した。このオーロラは、2000年11月1日から10日までの度重なるコロナ質量放出で発生したものだ。これらのコロナ質量放出は、それぞれ約2日で地球に到達した。11月18日から24日の間には、木星を周回しているNASAのガリレオ衛星と、土星に向かう途中で木星を通過しつつあったカッシーニ探査機が、同じようなオーロラを木星大気に確認した。このことから、太陽のアウトバーストが太陽系全体にわたって影響力を及ぼしうることが確認された、と著者らは語っている。
2004年11月4日号の Nature ハイライト
目次へ戻る