Nature ハイライト

Cover Story:複雑性に手が届く:タコのゲノムには無脊椎動物に起源を持つ遺伝子と脊椎動物に似た複雑性が合体している

Nature 524, 7564

すみかの中から腕を伸ばす<i>Octopus bimaculoides</i>。
すみかの中から腕を伸ばすOctopus bimaculoides。 | 拡大する

Credit: Michael LaBarbera

表紙は、今回ゲノムが解読されたマダコの一種Octopus bimaculoidesである。このタコでは、強力な吸盤が並び、物に巻き付くのに適した腕や、巧妙な作りのカメラ眼など、頭足類としての形態にいくつかの新機軸が見られる。タコは「最も賢い無脊椎動物」と呼ばれ、複雑で多彩な行動をとり、神経系のサイズは哺乳類に匹敵するが、その編成は大きく異なっている。タコでは、脊椎動物の場合と同様に、全ゲノムの重複がこのような複雑な神経系の進化につながったと考えられてきた。C Albertinたちは今回、O. bimaculoidesのゲノムと多数の組織のトランスクリプトームを解読し、このような重複が起こったことを示す証拠は存在しないが、タコ特異的な転位因子と密接に関連した大規模なゲノム再編成が見られることを明らかにした。中心となる発生関連遺伝子、ニューロン遺伝子のレパートリーは概して、他の無脊椎動物の場合と似ていたが、例外として2つの遺伝子ファミリーが拡大していた。これらは従来、脊椎動物だけで拡大したと考えられてきたもので、プロトカドヘリン(ニューロンの発生を調節する細胞接着分子)類とジンクフィンガー転写因子のC2H2スーパーファミリーである。

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