Nature ハイライト

量子物理学:ホン–オウ–マンデル実験におけるヘリウム4

Nature 520, 7545

ホン–オウ–マンデル効果は、区別がつかない2個の光子が50:50ビームスプリッターに入射すると、検出器の同時計数率にディップが生じるというもので、これによって量子力学の理論の基本的な特徴が実証される。このホン–オウ–マンデル効果に類似した古典的な効果は存在せず、この効果は量子情報や量子光学における他の多くの実験の基礎となっている。今回M Cheneauたちは、原子対生成に関するこれまでの進展に基づいて、光子の代わりにヘリウム4原子を使ったホン–オウ–マンデル実験を実現している。光子とは対照的に原子は質量を持つ粒子であるため、この実験によって、質量を持つ粒子のオブザーバブルを用いてベルの不等式の検証のような基礎的な量子物理学実験を行う可能性が開かれる。長い目で見れば、今回の結果は、量子力学における質量と重力の影響の研究、特に量子から古典への遷移の研究に役立つ可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度