BRCA2遺伝子が乳癌にどうかかわるかについては、多くの研究が行われてきた。この遺伝子が欠陥タンパク質をつくるようになると、乳癌が発生する。しかしこのタンパク質の正常な機能が何かは、謎に包まれていた。今回新たに報告されたBRCA2の類似タンパク質についての研究で、BRCA2が正常なDNA修復過程に重要な役割を果たしていることが示唆された。N Pavletichたちは、トウモロコシ黒穂病菌Ustilago maydisがもつBRCA2類似体が、DNA修復にきわめて重要な別のタンパク質を補助することを明らかにした。このタンパク質が機能するには一本鎖DNAへの結合が不可欠だが、BRCA2類似体がそれを助ける。この菌由来の類似体遺伝子Brh2の役割は、なぜヒトのBRCA2の変異が癌を引き起こすのかを知る手がかりになる。「BRCA2機能のメカニズムをさらに詳しく分類できれば、発癌にかかわる過程の解明が進むだろうし、原因となる欠陥を修復する方法も見つかる可能性がある」とS KowalczykowskiがNews and Viewsで述べている。
2005年2月10日号の Nature ハイライト
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