Nature ハイライト

気候:分散コンピューティングで検証する温暖化予想

Nature 433, 7024

気候システムは大気中の温室効果ガス濃度の上昇に対して、現在想定されている以上に敏感に反応している可能性がある。D Stainforthたちは2,000通りを超える気候モデルから導き出した結果をもとに、今週号でそう報告している。 Stainforthたちが運営するclimateprediction.netプロジェクトでは、世界各地の何千人もの人々が手持ちのパソコンの余剰作業容量を使って過去と将来の気候をシミュレーションしている。学童から科学者までが含まれる多様な参加者には、それぞれモデルの個人専用バージョンが提供され、どのバージョンも、気候モデルで使われる不確定な物理量について使用する近似値が他の人と異なるように設定されている。第1回目の結果集計から、著者たちは過去の気候を現実に合う形でシミュレーションできたバージョンを選び出した。これらの予測では、大気中の温室効果ガスが2倍になると地球全体の平均気温は2〜11℃上昇することになり、現在想定されている2〜5℃よりかなり大きい値になる。 気候感受性の実際的な幅がこれほど大きくては、温室効果ガス濃度の「安全」レベルの見極めはこれまで以上に難しくなる。 これらの結果は、気候予測における分散コンピューティングの威力をまざまざと見せつけた初めての成果だが、このプロジェクトは今も進行中である。プロジェクト参加方法の情報や説明についてはhttp://www.climateprediction.netまで。

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